定期報告制度が担う暮らしの安全

定期報告制度とは?

私たちにとって建築物とは、「住む」「働く」を始めとする暮らし全体を支える重要なものです。その暮らしを安全なものにしていくためには、建築物を健全な状態で維持する必要があります。建築基準法の第8条では、建築物を常時適法な状態に維持するよう、所有者または管理者に努力義務を課しています。しかし、実際には所有者等に建築物に関する技術的知識が少ない場合も多く、努力義務を果たすのは困難であるため、維持保全の不備により事故や災害が発生する可能性があります。そこで、建築基準法第12条では、定期的に建築物の状況を資格者に調査させて、その結果を特定行政庁に報告するよう、建築物の所有者等に義務付けました。公共性の高い建築物や第三者が多数利用する建築物が対象で、報告を怠った所有者に対する罰則があります。

ここでいう資格者とは、国土交通大臣登録資格者(特殊建築物等調査資格者・建築設備定期検査資格者)、一級・二級建築士などを指し、建築物の技術的知識を持った者です。資格者は、所有者等の代わりに建築物を定期的に調査・検査し、所有者等へその結果を伝えると共に、改善に関するアドバイスや特定行政庁への報告の補助も行います。

日常の維持保全や定期調査・検査を怠ると…

  • 事例1:

    外壁の落下による思わぬ事故が発生し、社会的な責任も問われる場合があります。

  • 事例2:

    火災や地震等で停電した場合、思わぬケガやパニックを引き起こす場合があります。

  • 事例3:

    火災の際、避難経路に煙が充満することで視界が悪くなったり、煙を吸い込むことで中毒症状を起こしてしまう危険性があります。

専門技術者による調査や検査が必須

現地での調査・検査項目は多岐にわたり、劣化状況も建築物によって様々です。資格者は建築物の全体から細部までをしっかりと診る必要があります。しかし、資格を所有している専門技術者の全てが、必ずしも定期報告をスムーズに行えるとは限りません。

当社では、日頃から劣化診断業務に携わっている資格者が現地での調査・検査に対応しております。あらゆる建築物について、表面上の劣化や不具合だけでなく、その裏に隠れた問題などについても抽出・検討し、所有者等へ報告しております。また、定期報告を行いたいが、誰に依頼すればいいのかわからないなどの相談も随時受け付けており、当社でできる限りの助言もいたします。

定期報告制度は、法に定められている義務です。そして、所有者・管理者が資格者と一丸となって調査・検査に取り組むことで、建築物の災害は未然に防がれ、安全が保たれます。当社も皆様の暮らしの安全に貢献できれば幸いです。

調査対象

特殊建築物等定期調査:建築物の劣化、避難経路の確保の状況、防火防災などの規定の項目について調査を行います。

建築設備定期検査換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備及び排水設備などの規定の項目について検査を行います。

使用機器

風速計、照度計、打診棒、クラックスケール など

調査方法

1.管理者などからのヒアリングや管理記録の閲覧により、不具合状況などを把握します。

2.対象部位・設備について、打診や、風速計などの機器を使用した現地調査を行います。

3.特定行政庁等が指定する様式に従って報告書を作成し、提出します。

  • 「定期報告」の調査内容
  • 配管劣化診断のスペシャリスト
  • 定期報告の重要性
  • 設備耐震診断のススメ
  • 建物診断の歴史と当社の沿革